ウンコう日誌(第758号)

大阪民国・害吉鉄道。
ここはアジアの混沌がすべて凝縮されたような鉄道会社であり、貨物輸送の“ついで”に旅客を乗せる、極めて前時代的な運行体系で知られる。

ある日、コンクリ桟橋に見慣れぬ機関車が漂着した。
ナンバープレートには「CK285」の文字。台湾から海を越えてやってきた、元・日本国鉄C57型の生き残りだった。

戦前、日本から台湾に渡り、戦後は台湾鉄路管理局にて「CK285」として現地改造を受け、観光列車や山岳貨物に使われた。
しかし時代の流れで退役。解体寸前のところ、害吉鉄道の「鉄道帝」が“助けてしまった”のだ。

大阪民国には、まだお前の出番がある」

CK285は黒煙を上げて再び走り出す。目的地は、かつての植民地支配の記憶と、今を生きる移民たちの現実が交錯する場所──コンクリ桟橋〜芦原橋(本社前)〜釜ヶ崎の路線だ。

牽くのは、荷物とゴミと労働者が混在した旧型客車。屋根には荷物、車内にはタバコを吸うおっさん、デッキには生きた鶏。まさに「人と物資の移動の混沌」。

途中駅の「害吉本社前」では、会社の社長が自ら出迎える。「我が帝国の象徴たれ」とスピーチするも、誰も聞いていない。

CK285は今日も走る。
油が漏れ、ピストンが震え、給水も石炭も自前の乗客が補う。
それでもCK285は誇りを失わない。
「俺はC57、否、CK285──日台混血の黒き騎士」

害吉鉄道は時代に取り残されることで、時代の真実を運んでいる。

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