蓄電池動車

ウンコう日誌(第862号) 中央情報課

ウンコう日誌(第862号)

蓄電池動車は、今日も重たそうに大阪ユニオン駅の片隅で息をしていた。 車体の塗装は剥げ、窓枠は白くくすみ、屋根の上の集電装置はもう飾りのようにしか見えない。それでも、こいつは走る。電線がなくても走る。充電さえすれば、どこへでも。 「ほな、今日も釜ヶ崎まで頼むで」 芦原橋(本社前)の助役が、車体を軽く叩…
ウンコう日誌(第856話) 中央情報課

ウンコう日誌(第856話)

大阪民国・大阪ユニオン駅。 油と汗と、言葉の渦が渦巻く高架下で、緑色の蓄電池動車107号は、今日も静かに息をしていた。 「발차 준비 됐나?」「准备好冇?」「ไป釜ヶ崎やで、 जल्दी चढ़ो!」 ホームに立つ車掌は、大阪クレオールで怒鳴る。怒鳴っているが、どこか優しい。 この列車は速くもないし…
ウンコう日誌(第850号) 中央情報課

ウンコう日誌(第850号)

薄曇りの朝、コンクリ桟橋駅から一本奥に入った留置線で、蓄電池動車は静かに目を覚ましていた。パンタグラフも煙突も持たないその車両は、昨夜のうちに発電所の裏で充電を終え、今はただ緑色の車体を朝露に濡らしている。エンジン音はない。あるのは、床下の電池が発する、かすかな唸りだけだった。 この動車は害吉鉄道で…
ウンコう日誌(第844号) 中央情報課

ウンコう日誌(第844号)

大阪民国の夜は、いつも電圧が低い。 ネオンはちらつき、言葉は混線し、人も貨物も目的地をはっきり言わない。 芦原橋(本社前)駅のはずれ、コンクリート粉と魚油の匂いが混じる留置線で、 蓄電池動車四〇七号は静かに息を潜めていた。 エンジン音はない。 あるのは、腹の奥でじんわり熱を持つ鉛蓄電池の鼓動だけだ。…
ウンコう日誌(第838号) 中央情報課

ウンコう日誌(第838号)

それは害吉鉄道の蓄電池動車107号だった。 朝の大阪ユニオン駅を出て、ゆっくりと青いレールの上を転がり出す。架線はない。屋根の上にはパンタグラフの名残のような突起があるが、もう何年も上がることはない。夜のうちに倉庫の隅で充電され、昼はひたすら黙って走る。それがこいつの役目だった。 大阪ユニオン駅のホ…
ウンコう日誌(第832号) 中央情報課

ウンコう日誌(第832号)

大阪民国・害吉鉄道の朝は遅い。 それでも、この線区だけは必ず動く。 大阪ユニオン駅から芦原橋(本社前)を経て、釜ヶ崎へ向かう蓄電池動車。石炭も軽油も惜しい時代、電気だけが頼りの、時代に取り残された小さな車両だ。 まだ空が白みきらない時間、簡易ホームには人が集まっている。 背中に荷物を背負った者、寝袋…
ウンコう日誌(第822号) 中央情報課

ウンコう日誌(第822号)

夜明け前、コンクリ桟橋の空気は潮と油と、言葉にならない雑多な匂いが混じっていた。 107号はまだ眠っているように見えたが、屋根の蓄電箱の奥では、昨夜ため込んだ電気が静かに目を覚ましていた。石炭も軽油もいらない。音も煙も出さない。ここではそれが都合がよかった。 ホーム脇の詰所から、係員が顔を出す。 「…
ウンコう日誌(第816号) 中央情報課

ウンコう日誌(第816号)

コンクリ桟橋の朝は、海から吹く油じみた風と、どこの国の言語ともつかない怒号で始まる。そこにひょこ、と鼻先を出したのが——害吉鉄道の蓄電池動車《アシッド907》。 車体は濃い緑と薄い緑のツートン、鼻先には、いつ誰が付けたのか分からない巨大な排障器。元々は大阪民国の軍港で弾薬運搬をしていたが、戦後の混乱…
ウンコう日誌(第810号) 中央情報課

ウンコう日誌(第810号)

蓄電池動車107号は、朝の大阪ユニオン駅で静かに目を開けた。屋根の上には煤が積もり、車体の緑色はくすんでいる。それでも107号は今日も仕事に向かうつもりらしい。 車掌がドア横を叩く。 「ヨッシャ107! 오늘도 아시와라前〜カマ사키直行やでぇ。バッテ리 まだ 살아있나? 落ちたら困んでホンマ。」 整…
ウンコう日誌(第804号) 中央情報課

ウンコう日誌(第804号)

朝の大阪ユニオン駅構内。 黒煙を上げるD51や、木炭動車の匂いが混じる中で、ひときわ静かに発車の時を待つ小さな緑の車両がいた。 ――107号、通称「青蓄(あおちく)」。 屋根の上には、時代遅れのバッテリーボックス。 パンタグラフも煙突もない。 かわりに、駅構内の片隅でうなりを上げる充電器から、青いケ…
ウンコう日誌(第798号) 中央情報課

ウンコう日誌(第798号)

大阪民国・芦原橋(本社前)駅。 ホームの片隅で、古い緑の蓄電池動車107号が静かに唸っていた。 昼過ぎの貨物列車を待つあいだ、車掌の朴さんは駅舎のベンチにもたれて煙草をくゆらせている。 ――電気は貯められるけど、人間の元気は貯められへんな。 そんな冗談をこぼしながら。 この107号、もとは大阪市電の…
ウンコう日誌(第792号) 中央情報課

ウンコう日誌(第792号)

緑の蓄電池動車は、今日も静かにホームを離れた。 パンタグラフも煙突もないその車体は、夜の街のざわめきの中に溶けていく。 車掌は片手義手の老婆。かつて「電気の娘」と呼ばれた蓄電池職工で、車内では今も古い歌を口ずさむ。 ♪どこへ行くのか この街は ♪煙と鉄と 人の夢 終点は釜ヶ崎。 駅舎の灯りは薄く、看…
ウンコう日誌(第786号) 中央情報課

ウンコう日誌(第786号)

大阪民国の混沌をつなぐ害吉鉄道。その中でもひときわ異彩を放つのが、緑色の小さな車体に蓄電池を積んだ「107号動車」である。 昭和の忘れ物のような姿だが、貨物の隙間に労働者や子どもを詰め込み、ぎこちないモーター音を響かせながら、今日も大阪ユニオン駅と釜ヶ崎のあいだを往復している。 107号が特別扱いさ…
ウンコう日誌(第779号) 中央情報課

ウンコう日誌(第779号)

大阪民国の片隅、害吉鉄道のヤードに眠っていたのは、古びた緑色の蓄電池動車だった。 形式名すら曖昧なまま、ただ「バッテリーカー」と呼ばれ、誰からも忘れ去られた存在。しかし夜になると、この車両は低い唸り声とともにゆっくりと走り出す。車内にあるのは座席ではなく、大量の鉛電池。貨物輸送の名目で造られたが、実…
ウンコう日誌(第773号) 中央情報課

ウンコう日誌(第773号)

大阪ユニオン駅の片隅。 煤けた緑色の蓄電池動車107号が、闇の中で唸りを上げていた。屋根には使い古された煙突、側面は傷だらけ。鉛電池を抱え込みながら、辛うじて走り続ける害吉鉄道の古参車両である。 「おい兄ちゃん、これ釜ヶ崎行きやろか?」 「せやせや、まちがいないで。はよ乗らんと席なくなるでぇ」 関西…
ウンコう日誌(第767号) 中央情報課

ウンコう日誌(第767号)

大阪民国・害吉鉄道の片隅。 緑の蓄電池動車「107号」は、まだ夜明け前の薄暗い時間に大阪ユニオン駅に現れる。パンタグラフもない小さな車体に、大きなバッテリーを抱え込んだ、時代遅れの車両だった。しかしそれでも、今日も釜ヶ崎へと向かう労働者たちを運ぶ、大事な存在である。 プラットホームには、九州から夜行…
ウンコう日誌(第761号) 中央情報課

ウンコう日誌(第761号)

害吉鉄道の蓄電池動車・407号は、戦前に製造された古参車両だ。もとは軍需工場の構内輸送用として作られたが、戦後の混乱期に払い下げられ、何度も塗装と部品を替えながら大阪民国を走り続けている。 この車両の特徴は、天井に並んだ巨大なバッテリー換気口と、車体側面にある手回し充電口だ。沿線の小さな変電所で、駅…
ウンコう日誌(第755号) 中央情報課

ウンコう日誌(第755号)

大阪民国。 時代に置き去りにされた都市の片隅で、今日もまた緑色の蓄電池動車が「大阪ユニオン駅」を静かに出発する。 行き先は、釜ヶ崎。 車番は107。戦後復興期に旧国鉄が試験的に導入した車両を、廃車直前に害吉鉄道が二束三文で買い取り、自社の整備工場で蓄電池式に改造したものである。パンタグラフは最初から…
ウンコう日誌(第747号) 中央情報課

ウンコう日誌(第747号)

大阪民国・北津守駅の片隅。半ば打ち捨てられたようなホームに、緑の蓄電池動車「107号」は、無言のまま停車していた。 この車両は、かつて内地の軍需工場で構内輸送に使われていたが、戦後に払い下げられ、各地を転々とした末、ついに害吉鉄道に拾われた。騒音も煤煙も出さないその静けさは、害吉の喧騒には不釣り合い…
ウンコう日誌(第740号) 中央情報課

ウンコう日誌(第740号)

大阪民国—— そこは「アジアのラゴス」と呼ばれる世界最強のカオス地帯。チャイナも、インドも、クルドも、ビルマも、沖縄も、戦後難民も、半グレも、そしてどこから来たのか分からない人々も——皆がここに流れ着き、そして“共存しないまま共存”している。 中心駅・大阪ユニオンは一日中怒号と多言語で満ちているが、…