中央情報課 7 3月 2026 ウンコう日誌(第864号) 大阪民国・西成区。 大阪ユニオン駅から南へ伸びる、時代に取り残された私鉄――害吉鉄道。 その線路の上を、今日も一台の奇妙な車両が走っていた。 「木炭動車」である。 エンジンの横には鉄の箱。そこに木炭を入れて燃やし、発生したガスでエンジンを回す。 石油が高い時代の名残りというか、社長の趣味というか、と… 続きを読む
中央情報課 23 2月 2026 ウンコう日誌(第858号) 大阪民国の冬は、煤けた匂いがする。 大阪ユニオン駅の片隅、害吉鉄道の引き込み線に、緑色の小さな木炭動車がちょこんと止まっていた。側面に「107」とある。屋根の上には角ばった吸気口。後ろには黒光りする木炭ガス発生装置。 石油が足りない。 金も足りない。 けれど人は、溢れている。 「次、釜ヶ崎ゆきや。乗… 続きを読む
中央情報課 11 2月 2026 ウンコう日誌(第852号) 大阪ユニオン駅の朝は、いつも煤けた匂いがする。 ホームの端に据え付けられた青い線路の上で、緑とクリーム色の小さな木炭動車107号は、ぽこ、ぽこ、と不器用に息をしていた。屋根の上の小さな煙突からは、石炭ではなく、木炭のやわらかい煙が立ちのぼる。時代錯誤。だがそれが、害吉鉄道の矜持だった。 「社長はん、… 続きを読む
中央情報課 30 1月 2026 ウンコう日誌(第846号) 木炭動車107号は、今日も大阪ユニオン駅の構内で黒い息を吐いていた。 屋根の上の木炭ガス発生装置は、まるで臓物を外に晒された胃袋のようで、蓋の隙間から甘苦い煙がゆっくりと滲み出している。 この車両はディーゼルにも電気にもなれなかった。 石油は高く、電線は盗まれ、蓄電池はいつも足りない。 だから木炭を… 続きを読む
中央情報課 18 1月 2026 ウンコう日誌(第840号) それは木炭動車だった。 害吉鉄道の中でも、いちばん時代から取り残された車両だ。屋根の上には、もともと蓄電池箱が載るはずだった場所に、無理やり作った木炭ガス発生装置が鎮座している。鉄板は波打ち、ところどころ焦げ跡が残っている。緑色の車体には「107」の番号が白く残り、剥げた塗装の下から、さらに古い色が… 続きを読む
中央情報課 6 1月 2026 ウンコう日誌(第834号) 木炭動車は、不逞町駅でいったん息を整えていた。 屋根の上の木炭ガス発生炉は、もう新品の角などどこにも残っていない。鉄板は熱で歪み、継ぎ当てだらけで、ところどころ別の時代のボルトがねじ込まれている。炭を焚くたび、甘いような、焦げたような、どこか懐かしい匂いが漂った。 駅舎の前で、男が炭俵を下ろす。 「… 続きを読む
中央情報課 17 12月 2025 ウンコう日誌(第824号) 大阪民国・害吉鉄道。 大阪ユニオン駅と芦原橋(本社前)を結ぶウンコう区間の朝は、いつも煤と湿った潮の匂いが混じっている。 その中を、今日も木炭動車107号は、青いレールの上をゆっくりと転がっていた。 屋根の上には、無理やり積まれた木炭箱。 本来なら森林鉄道か山奥の簡易線に押し込められるはずの代物だが… 続きを読む
中央情報課 5 12月 2025 ウンコう日誌(第818号) 大阪民国の外れ――いや、外れというより “カオスの吹き溜まり” と呼ばれる芦原橋(本社前)。 そこに、時代から完全に取り残された一両が、今日ものそりとのそりと息をしていた。 緑の木炭動車・107号。 鼻先には煤で真っ黒になったガス発生炉。屋根上には、昔の農具か何かのような通風筒。 その姿は、害吉鉄道… 続きを読む
中央情報課 23 11月 2025 ウンコう日誌(第812号) 害吉鉄道・大阪ユニオン駅の下層ホーム―― ディーゼルも電化も置いてけぼりのこの世界では、木炭を焚いて走る“木炭動車”がまだ現役だった。 緑色の車体に「107」の番号。屋根の上には年代物の機器が並び、車端には煤まみれの缶形のガス発生炉。 今日も大阪ユニオン駅の空気は、大阪クレオールと木炭の匂いで満ちて… 続きを読む
中央情報課 11 11月 2025 ウンコう日誌(第806号) 害吉鉄道の木炭動車・107号は、戦前に作られた古老の車両だ。 緑の塗装は何度も塗り替えられ、屋根の木炭ガス発生装置には錆が浮き、 冬の朝などは白い煙を吐きながら、のんびりと大阪ユニオン駅を出ていく。 今日も釜ヶ崎行き。 荷物車の後ろには、北の炭鉱や漁村から流れてきた労働者たちがぎゅうぎゅうに乗り込ん… 続きを読む
中央情報課 30 10月 2025 ウンコう日誌(第800号) 芦原橋のヤードに、夕方の汽笛がかすかに響く。 冬の冷たい風が、石炭でも重油でもない、どこか甘い木炭の匂いを運んでくる。 107号は古い木炭動車だった。 燃料タンクのかわりに積まれた木炭箱を、朝いちばんに点火して暖めるのが日課だ。 運転士の張(チャン)さんは、まだ若いのに腕が立つ。「この子は生き物だ」… 続きを読む
中央情報課 18 10月 2025 ウンコう日誌(第794号) 害吉鉄道・芦原橋(本社前)駅の片隅。 灰色の空の下、木炭動車107号は、今日も煙突から薄く白い煙を吐き出していた。ディーゼルカーが主力となった今、木炭動車の姿は珍しく、整備工場でも「よう動いとるなあ」と言われるほどの老体である。 運転士の老金(オ・グム)は、帽子を目深にかぶりながらぼそりとつぶやいた… 続きを読む
中央情報課 6 10月 2025 ウンコう日誌(第788号) 害吉鉄道の朝は、いつも薄曇りから始まる。 大阪ユニオン駅の片隅で、古びた木炭動車107号が、ゆっくりと煙を吐いていた。 エンジンの代わりに木炭炉がごうごうと燃え、運転士のキム・ハンスがトングで炭をかき混ぜる。 「오늘도 가자, 콘크리부두까지(今日も行くで、コンクリ桟橋まで)」 沿線には芦原橋本社前… 続きを読む
中央情報課 24 9月 2025 ウンコう日誌(第782号) 木炭の煙をもうもうと吐き出しながら、害吉鉄道の木炭動車は今日も大阪ユニオン駅を発車した。 番号は「107」。だが車内のプレートには「107」ではなく「一〇七號炭車」と墨書されており、誰がいつ書いたのかすら不明だった。 木炭動車は、蒸気でも電気でもなく、まさに「木炭」で走る。運転士は駅ごとに子どもたち… 続きを読む
中央情報課 10 9月 2025 ウンコう日誌(第775号) 大阪民国の害吉鉄道、芦原橋(本社前)から釜ヶ崎へと走る小さな木炭動車。 番号は「107」。 青いレールの上で、今日もポコポコと木炭を燃やしながら進んでいく。 停車場のベンチには、労働者風の男が煙草をふかしながら立っていた。 「おい、まだ走っとんのか、このポンコツ」 そう言いながらも、彼はちゃっかりと… 続きを読む
中央情報課 29 8月 2025 ウンコう日誌(第769号) 大阪民国の片隅、害吉鉄道の青い線路を、ちんまりとした緑の木炭動車が走っていた。車体に刻まれた「107」の番号は、すでに数十年前から現役を続けてきた証だった。 木炭をくべる煙突は小さく、しかし運転士の手際で火は絶やされることなく赤々と燃え、車両の横腹に据え付けられた小さな炉からはじんわりとした熱が漏れ… 続きを読む
中央情報課 17 8月 2025 ウンコう日誌(第763号) 害吉鉄道の片隅、堀江新地から釜ヶ崎に向かう短い区間を、今なお走り続ける古い木炭動車がある。車体番号107。 戦時中の燃料難に対応するために作られたこの車両は、石炭やガソリンが手に入らぬ時代に、山から切り出した木を炭に変えて走らせた。時代遅れの産物として忘れられてもおかしくなかったが、大阪民国の混沌は… 続きを読む
中央情報課 5 8月 2025 ウンコう日誌(第757号) 「この線、昔は貨物列車が5分おきに通ってたんや。」 コンクリ桟橋の片隅で、静かに待機する木炭動車107号。くすんだ緑のボディ、煤けた屋根、そして側面の“107”の番号。その姿は、戦時中の記憶を今に伝える生きた遺物だ。 この車両が造られたのは、大東亜戦争も中盤の頃。石油はおろか、石炭も入らず、頼れるの… 続きを読む
中央情報課 24 7月 2025 ウンコう日誌(第751号) 大阪民国・芦原橋。まだ空も白みきらぬ午前4時半。コトン……コトン……と、乾いたリズムで目を覚ますのは、害吉鉄道の木炭動車107号車。戦前に製造され、戦後の混乱期に台湾から戻され、いつしかこの多民族都市の片隅に流れ着いた。 107号車は、朝焼けの釜ヶ崎支線を走る。乗客は、眠たげな目をこすりながら積み荷… 続きを読む
中央情報課 8 7月 2025 ウンコう日誌(第743号) 大阪ユニオン駅の6.5番線、木炭動車107号がぷすんぷすんと煙を吐いていた。 「今日も混んでるなあ……いや、人間の話ちゃうで」 駅員のキム・田中がぼやく。車内には、買い出し帰りのオモニ、釜ヶ崎行きの荷車、何かの部品、あとなぜか生きた鶏までいる。害吉鉄道の木炭107号は、もともと軽便鉄道用のディーゼル… 続きを読む