サルゴリラチンパンジー

ウンコう日誌(第819号) 中央情報課

ウンコう日誌(第819号)

害吉鉄道・大阪ユニオン駅の片隅。蒸気機関車たちの溜まり場になっている古い検修庫に、黒光りした小ぶりの機関車が静かに眠っていた。 C56 160――通称「サルゴリラチンパンジー」。泰緬鉄道から帰ってきて何十年も経つのに、その異名だけはなぜか色濃く残っている。 帰国直後は国鉄の機関区を転々とし、そして老…
ウンコう日誌(第807号) 中央情報課

ウンコう日誌(第807号)

泰緬鉄道から帰還したC56形の 160号機。 大阪民国の害吉鉄道に配属されると、妙なあだ名をつけられた。「サルゴリラチンパンジー」。 理由は簡単で、戦争帰りであちこち傷だらけ、煙突にはジャングルの煤がこびりつき、側面にはサルにつけられた爪痕らしきものまで残っていたからだった。 コンクリ桟橋駅の早朝。…
ウンコう日誌(第795話) 中央情報課

ウンコう日誌(第795話)

害吉鉄道・芦原橋本社前。夕暮れのヤードに、黒く煤けたC56形が静かに止まっていた。 機番は「C56160」。そのナンバープレートの下には、小さく「かばちゃエクスプレス」と書かれた札。だが誰もその由来を知らない。 この機関車は、かつて泰緬鉄道を走った帰還機だった。ジャングルの湿気と赤土をまとい、戦後の…
ウンコう日誌(第780号) 中央情報課

ウンコう日誌(第780号)

C56 160号機。かつては泰緬鉄道の酷暑と密林を走り、数え切れぬほどの兵站と人命を背負った。ジャングルの鉄橋を渡り、赤土の築堤を喘ぎながら越え、蒸気のたびに熱風と絶望を吐き出してきた。 その小さなボイラーに詰め込まれていたのは、石炭と水だけではなかった。汗、血、涙――そして帰れなかった者たちの声だ…
ウンコう日誌(第768号) 中央情報課

ウンコう日誌(第768号)

泰緬鉄道帰りのC56形蒸気機関車、番号は「C56160」。 戦場のジャングルで酷使された機関車は、今や害吉鉄道の主力のひとつとして、コンクリ桟橋から釜ヶ崎へと、人と荷を満載して走る。 屋根の上にもしがみつく人びと、荷物に腰かけて眠る者、炊飯釜を抱えたままの移民労働者。車内は混沌そのもので、聞こえる言…
ウンコう日誌(第739号) 中央情報課

ウンコう日誌(第739号)

朝霧のたちこめる大阪ユニオン駅。 構内放送は壊れて久しく、代わりに炊き出しのスピーカーが「おにぎり一個百円やでぇ〜」とけたたましく響いていた。 そこへ現れたのが、黒光りする戦時型蒸気機関車。 番号はC56160、通称「サルゴリラチンパンジー号」。 屋根にはいつのまにか野良犬と洗濯物、そして人間数名が…