定時報

ウンコう日誌(第741号) 中央情報課

ウンコう日誌(第741号)

コンクリ桟橋駅には、世界中の雑踏と油煙が絡み合っていた。重油とパクチーと香辛料、そして潮風。干物屋の廃材を組み直したような屋台の奥で、男たちは黙って缶ビールを飲み、次の船便や仕事の噂話をしていた。 そのホームの一角に、くすんだ水色の車体が静かに停まっていた。キハ40。古びたディーゼルカー。正面の丸い…
ウンコう日誌(第740号) 中央情報課

ウンコう日誌(第740号)

大阪民国—— そこは「アジアのラゴス」と呼ばれる世界最強のカオス地帯。チャイナも、インドも、クルドも、ビルマも、沖縄も、戦後難民も、半グレも、そしてどこから来たのか分からない人々も——皆がここに流れ着き、そして“共存しないまま共存”している。 中心駅・大阪ユニオンは一日中怒号と多言語で満ちているが、…
ウンコう日誌(第739号) 中央情報課

ウンコう日誌(第739号)

朝霧のたちこめる大阪ユニオン駅。 構内放送は壊れて久しく、代わりに炊き出しのスピーカーが「おにぎり一個百円やでぇ〜」とけたたましく響いていた。 そこへ現れたのが、黒光りする戦時型蒸気機関車。 番号はC56160、通称「サルゴリラチンパンジー号」。 屋根にはいつのまにか野良犬と洗濯物、そして人間数名が…
ウンコう日誌(第738号) 中央情報課

ウンコう日誌(第738号)

大阪民国の片隅、時の澱がたまるような裏界路を縫いながら、蒸気動車107号はゆるりと息を吐く。害吉鉄道——かつて誰かが敷き、今では誰も整備していない鉄道。だが、その車両は今も走る。いつの世の鉄か定かでない蒼碧の双条の道を、節くれだった車輪が擦り寄ってゆく。 車体は苔むした緑、煙突は煤で艶を帯び、車窓に…
ウンコう日誌(第737号) 中央情報課

ウンコう日誌(第737号)

朝のラッシュを少し過ぎたころ、C5343号機は堀江新地駅をゆっくりと発車した。漆黒の流線型ボディを誇る老蒸機は、今や害吉鉄道の象徴ともいえる存在だが、特別列車などではない。大阪民国の、いつも通りの“足”である。 牽引されるのは、半世紀以上前に製造された木造客車と、車籍不明の連接車。車体には各民族によ…