害鉄本社

ウンコう日誌(第791号) 中央情報課

ウンコう日誌(第791号)

かつて岡山県の山奥を走っていたC11形蒸気機関車。 八つ墓村の村人を運び、血の匂いと怨霊の呻きに包まれたその鉄路は、ある日を境に封鎖された。 だが時は流れ──。 老朽化した車体を捨てるでもなく、どこからともなくやって来た黒塗りのトレーラーがそれを載せ、 「害吉鉄道行き」とだけ書かれた伝票を残して消え…
ウンコう日誌(第790号) 中央情報課

ウンコう日誌(第790号)

害吉鉄道の中でも最古参のひとつ、「107号蒸気動車」。 大阪ユニオン駅から芦原橋(本社前)を経て、釜ヶ崎へ向かう。 車体はくたびれ、ボイラーの煙突からは時々しか煙が出ない。 それでも、朝の冷えた空気の中で「しゅぽ、しゅぽ」と息づいていた。 駅名標には「釜ヶ崎支線 堀江新地方面」とある。 小さなプラッ…
ウンコう日誌(第789号) 中央情報課

ウンコう日誌(第789号)

戦後の混乱期、大阪民国の港・コンクリ桟橋に、錆びた貨車を曳いて一台の黒い蒸機が流れ着いた。 その名は「Д51」。ソ連式の銘板を残したまま、樺太の凍土を越えてきた“亡霊機関車”である。 「オレ、もとは北海道のD51や。けど、終戦後に向こうの軍に接収されてな、ロシアの雪原を走っとったんや。」 そう語るよ…
ウンコう日誌(第788号) 中央情報課

ウンコう日誌(第788号)

害吉鉄道の朝は、いつも薄曇りから始まる。 大阪ユニオン駅の片隅で、古びた木炭動車107号が、ゆっくりと煙を吐いていた。 エンジンの代わりに木炭炉がごうごうと燃え、運転士のキム・ハンスがトングで炭をかき混ぜる。 「오늘도 가자, 콘크리부두까지(今日も行くで、コンクリ桟橋まで)」 沿線には芦原橋本社前…
ウンコう日誌(第787号) 中央情報課

ウンコう日誌(第787号)

かつて異界を走った「無限列車」は、幾多の戦乱と取り壊しを経て、その姿を大阪民国の害吉鉄道へと移した。 老朽機関車を魔改造した漆黒の車体は、夜の闇に溶けるように線路を走り、いまや大阪ユニオン駅から釜ヶ崎、さらにはコンクリ桟橋へと、果てしなき乗客を運んでいる。 客車の屋根には布団、ドラム缶、ブルーシート…
ウンコう日誌(第786号) 中央情報課

ウンコう日誌(第786号)

大阪民国の混沌をつなぐ害吉鉄道。その中でもひときわ異彩を放つのが、緑色の小さな車体に蓄電池を積んだ「107号動車」である。 昭和の忘れ物のような姿だが、貨物の隙間に労働者や子どもを詰め込み、ぎこちないモーター音を響かせながら、今日も大阪ユニオン駅と釜ヶ崎のあいだを往復している。 107号が特別扱いさ…
ウンコう日誌(第785号) 中央情報課

ウンコう日誌(第785号)

かつて北海道の天塩炭鉱鉄道で石炭列車を牽いていたC58。厳冬の日本海から吹き込む季節風と、山奥の鉱山地帯の急勾配に耐え抜き、煤にまみれながらもひたすらに走った機関車だった。 しかし、炭鉱の閉山とともに役目を終え、スクラップ寸前の状態で長らく放置されていた。そのボイラーは割れ、テンダーは穴だらけ。誰も…
ウンコう日誌(第784号) 中央情報課

ウンコう日誌(第784号)

大阪民国のユニオン駅の片隅に、時代に取り残された不思議な車両がある。 その名は 蒸気動車107号。 緑色の小さな電車スタイルの車体に、なぜか巨大な煙突が突き刺さっている。かつては市電を改造した車両だったが、戦後の燃料難で「木炭ガス発生炉」を積み込み、さらに“蒸気を出してる風に見せる”ためだけに煙突を…
ウンコう日誌(第783号) 中央情報課

ウンコう日誌(第783号)

台湾から引き揚げてきたC57は、すでに日本では役目を終え、解体寸前の身であった。しかし害吉鉄道の社長「鉄道帝」は、その細身で優美なシルエットを見て「これは大東亜の象徴になる」と言い張り、スクラップ寸前で買い叩いたのだった。 煤にまみれたボイラーには「臺灣鐵路管理局」の刻印が残り、テンダーの側面には消…
ウンコう日誌(第782号) 中央情報課

ウンコう日誌(第782号)

木炭の煙をもうもうと吐き出しながら、害吉鉄道の木炭動車は今日も大阪ユニオン駅を発車した。 番号は「107」。だが車内のプレートには「107」ではなく「一〇七號炭車」と墨書されており、誰がいつ書いたのかすら不明だった。 木炭動車は、蒸気でも電気でもなく、まさに「木炭」で走る。運転士は駅ごとに子どもたち…
ウンコう日誌(第781号) 中央情報課

ウンコう日誌(第781号)

大阪民国の害吉鉄道には、ひときわ異様な機関車がいた。 黒塗りの小型蒸気機関車C12──だが、これは正規の日本国鉄型ではない。戦時中に仏印(ベトナム)へ送られ、植民地鉄道の山岳区間で酷使されたのち、インドシナ戦争を経て放置されていたものを、害吉鉄道の社長「鉄道帝」がどこからか買い叩いて持ち帰ったのだと…
ウンコう日誌(第780号) 中央情報課

ウンコう日誌(第780号)

C56 160号機。かつては泰緬鉄道の酷暑と密林を走り、数え切れぬほどの兵站と人命を背負った。ジャングルの鉄橋を渡り、赤土の築堤を喘ぎながら越え、蒸気のたびに熱風と絶望を吐き出してきた。 その小さなボイラーに詰め込まれていたのは、石炭と水だけではなかった。汗、血、涙――そして帰れなかった者たちの声だ…
ウンコう日誌(第779号) 中央情報課

ウンコう日誌(第779号)

大阪民国の片隅、害吉鉄道のヤードに眠っていたのは、古びた緑色の蓄電池動車だった。 形式名すら曖昧なまま、ただ「バッテリーカー」と呼ばれ、誰からも忘れ去られた存在。しかし夜になると、この車両は低い唸り声とともにゆっくりと走り出す。車内にあるのは座席ではなく、大量の鉛電池。貨物輸送の名目で造られたが、実…
ウンコう日誌(第778号) 中央情報課

ウンコう日誌(第778号)

—コンクリ桟橋を出発する列車の先頭に、黒光りする異形の機関車がいた— それは、かつて帝都の華とも呼ばれた「流線型C53 53改」。 大東亜流線形計画の末期に生まれ、空襲下の東京を風のように走り抜けたとされるが、その戦後の消息は不明だった。 ところが、数十年後、コンクリ桟橋の汚泥の中から、泥と錆にまみ…
ウンコう日誌(第777号) 中央情報課

ウンコう日誌(第777号)

大阪民国の害吉鉄道。 時代に取り残された線路の上を、今日もまた奇妙な列車が走る。 緑色の小さな車体に、なぜか蒸気機関車のような煙突を載せた「蒸気動車」107号。 石炭をくべるほどの大きさはない。運転席の隣に小さな炉があり、車掌がシャベルで炭を突っ込み、火が落ちぬように必死に守る。 その熱でボイラーを…
ウンコう日誌(第776号) 中央情報課

ウンコう日誌(第776号)

それは敗戦の余燼に煙る大地から戻ってきた鉄の獣であった。 かつて樺太の北の果て、氷雪に閉ざされた大泊の港から、石炭と軍需物資をひたすら運び続けた機関車――D51。ソ連軍に鹵獲され、「Д51」と赤いプレートを打たれ、シベリアの凍土をも走らされた。だが運命の糸は奇怪にして不思議、なぜか大阪民国の混沌に引…
ウンコう日誌(第775号) 中央情報課

ウンコう日誌(第775号)

大阪民国の害吉鉄道、芦原橋(本社前)から釜ヶ崎へと走る小さな木炭動車。 番号は「107」。 青いレールの上で、今日もポコポコと木炭を燃やしながら進んでいく。 停車場のベンチには、労働者風の男が煙草をふかしながら立っていた。 「おい、まだ走っとんのか、このポンコツ」 そう言いながらも、彼はちゃっかりと…
ウンコう日誌(第774号) 中央情報課

ウンコう日誌(第774号)

大阪ユニオン駅構内に煤けた8620形が滑り込んできた。客車の行先表示には「無限」とだけ書かれた木札。どこから来たのか誰も知らない。 「おい、なんやあれ? 8620なんて戦前の骨董品やろ」 「ほんまや。しかも行先が“無限”。あんなんダイヤにないで!」 大阪クレオールが飛び交い、ユニオン駅の混沌はいっそ…
ウンコう日誌(第773号) 中央情報課

ウンコう日誌(第773号)

大阪ユニオン駅の片隅。 煤けた緑色の蓄電池動車107号が、闇の中で唸りを上げていた。屋根には使い古された煙突、側面は傷だらけ。鉛電池を抱え込みながら、辛うじて走り続ける害吉鉄道の古参車両である。 「おい兄ちゃん、これ釜ヶ崎行きやろか?」 「せやせや、まちがいないで。はよ乗らんと席なくなるでぇ」 関西…
ウンコう日誌(第772号) 中央情報課

ウンコう日誌(第772号)

大阪ユニオン駅の片隅。 雑多な多国籍労働者のざわめきのなかで、一両の古びたC58が煤けた煙突を揺らしていた。社紋のエンブレムを誇らしげに掲げているが、その素性は複雑だ。 もとは北海道の天塩炭鉱鉄道に所属し、極寒の北辺で石炭列車を牽いていた。しかし炭鉱が閉山となると、行き場を失い、縁あって大阪民国へと…
ウンコう日誌(第771号) 中央情報課

ウンコう日誌(第771号)

大阪民国の害吉鉄道には、いまなお「蒸気動車」と呼ばれる奇妙な車両が現役で走っている。 それは蒸気機関と電車の折衷のような姿で、車体は路面電車に似て小ぶりながら、屋根には黒々とした煙突が突き出している。 ――大阪ユニオン駅。 列車を待つ群衆の中には、関西弁に混じって「ສະບາຍດີ」「Apa kaba…
ウンコう日誌(第770号) 中央情報課

ウンコう日誌(第770号)

――その機関車は、黒光りするボイラーに「CK285」とプレートを掲げていた。 かつて台湾総督府鉄道で走ったC57の同型機。南国の陽射しとサトウキビの匂いを浴び、山岳を縫う急勾配を越えてきた歴史を背負いながら、今は大阪民国・害吉鉄道に流れ着いている。 大阪ユニオン駅の雑踏。蒸気の白煙に混じって、タイ語…
ウンコう日誌(第769号) 中央情報課

ウンコう日誌(第769号)

大阪民国の片隅、害吉鉄道の青い線路を、ちんまりとした緑の木炭動車が走っていた。車体に刻まれた「107」の番号は、すでに数十年前から現役を続けてきた証だった。 木炭をくべる煙突は小さく、しかし運転士の手際で火は絶やされることなく赤々と燃え、車両の横腹に据え付けられた小さな炉からはじんわりとした熱が漏れ…
ウンコう日誌(第768号) 中央情報課

ウンコう日誌(第768号)

泰緬鉄道帰りのC56形蒸気機関車、番号は「C56160」。 戦場のジャングルで酷使された機関車は、今や害吉鉄道の主力のひとつとして、コンクリ桟橋から釜ヶ崎へと、人と荷を満載して走る。 屋根の上にもしがみつく人びと、荷物に腰かけて眠る者、炊飯釜を抱えたままの移民労働者。車内は混沌そのもので、聞こえる言…
ウンコう日誌(第767号) 中央情報課

ウンコう日誌(第767号)

大阪民国・害吉鉄道の片隅。 緑の蓄電池動車「107号」は、まだ夜明け前の薄暗い時間に大阪ユニオン駅に現れる。パンタグラフもない小さな車体に、大きなバッテリーを抱え込んだ、時代遅れの車両だった。しかしそれでも、今日も釜ヶ崎へと向かう労働者たちを運ぶ、大事な存在である。 プラットホームには、九州から夜行…