中央情報課 29 11月 2025 ウンコう日誌(第815号) ■ すっかり“害鉄の顔”になったD51(Д51) 大阪民国・害吉鉄道。 ユニオン駅からコンクリ桟橋へ、あるいは釜ヶ崎へ。 貨物も客車も、なんでも引っ張る雑多な鉄路の中で、いま“頼りになる古参”として働いているのが、この 樺太帰りのD51(Д51) だった。 ボイラー脇にはサハリンの煤が残り、テンダー… 続きを読む
中央情報課 27 11月 2025 ウンコう日誌(第814号) 大阪民国南部、夕暮れの 北津守駅前(きたつもり・ステーションフロント)。 コンクリの匂いと、どこの国の言語か分からんざわめきが入り混じる、害吉鉄道名物のごった煮空間だ。 そこへ、緑色の小さな蒸気動車・107号が「ぷしゅ〜〜」と白い息を吐きながら滑り込んできた。 時代に置いていかれすぎたこの車両は、な… 続きを読む
中央情報課 25 11月 2025 ウンコう日誌(第813号) ◆無限列車、害鉄へ堕つ かつて第四世界のどこかで“鬼殺しの列車”として恐れられた無限列車。 その異界での仕事を終えた後、行き場を失い、気づけば荒れ果てたコンクリ桟橋に打ち上げられていた。 害吉鉄道の整備員が最初に見つけたとき、機関車はすすけきっていたが、 どこか誇りをまとった異様な雰囲気があった。 … 続きを読む
中央情報課 23 11月 2025 ウンコう日誌(第812号) 害吉鉄道・大阪ユニオン駅の下層ホーム―― ディーゼルも電化も置いてけぼりのこの世界では、木炭を焚いて走る“木炭動車”がまだ現役だった。 緑色の車体に「107」の番号。屋根の上には年代物の機器が並び、車端には煤まみれの缶形のガス発生炉。 今日も大阪ユニオン駅の空気は、大阪クレオールと木炭の匂いで満ちて… 続きを読む
中央情報課 21 11月 2025 ウンコう日誌(第811話) 天塩炭鉱鉄道の最果てで石炭を引きずり続けていた黒いC58は、 じつは若い頃だけ害吉鉄道に出向していた“古い縁”の機関車だ。 芦原橋のあの薄汚れた詰所も、 世界中の労働者が降りてくるコンクリ桟橋の喧騒も、 実は全部“昔なじみ”。 だが時は流れ、天塩の炭鉱が沈み、 ベテランたちが一台、また一台と姿を消し… 続きを読む
中央情報課 19 11月 2025 ウンコう日誌(第810号) 蓄電池動車107号は、朝の大阪ユニオン駅で静かに目を開けた。屋根の上には煤が積もり、車体の緑色はくすんでいる。それでも107号は今日も仕事に向かうつもりらしい。 車掌がドア横を叩く。 「ヨッシャ107! 오늘도 아시와라前〜カマ사키直行やでぇ。バッテ리 まだ 살아있나? 落ちたら困んでホンマ。」 整… 続きを読む
中央情報課 17 11月 2025 ウンコう日誌(第809号) 大阪民国のコンクリ桟橋に、その黒光りする機関車がふらりと帰ってきた。 CK285——旧日本のC57が台湾鉄路を渡り歩き、老兵のような風格をまとって、害吉鉄道へ“亡命”してきたのである。 沿線の労働者たちはざわついた。 台湾での番号をそのまま掲げ、前照灯の下には「濱海町」と書かれた円形プレート。 サビ… 続きを読む
中央情報課 15 11月 2025 ウンコう日誌(第808号) 大阪民国の朝は、煙と怒号と、どこから流れてくるのか分からない謎の音楽で始まる。 蒸気動車107号は、今朝も煤を撒き散らしながらホームに滑り込んだ。 駅名標には「大阪ユニオン駅 豊里口」。 屋根は剥げ、ランプは緑色カビで覆われ、階段には誰かが食べた謎の赤い豆菓子が散乱している。 時代に取り残された鉄道… 続きを読む
中央情報課 13 11月 2025 ウンコう日誌(第807号) 泰緬鉄道から帰還したC56形の 160号機。 大阪民国の害吉鉄道に配属されると、妙なあだ名をつけられた。「サルゴリラチンパンジー」。 理由は簡単で、戦争帰りであちこち傷だらけ、煙突にはジャングルの煤がこびりつき、側面にはサルにつけられた爪痕らしきものまで残っていたからだった。 コンクリ桟橋駅の早朝。… 続きを読む
中央情報課 11 11月 2025 ウンコう日誌(第806号) 害吉鉄道の木炭動車・107号は、戦前に作られた古老の車両だ。 緑の塗装は何度も塗り替えられ、屋根の木炭ガス発生装置には錆が浮き、 冬の朝などは白い煙を吐きながら、のんびりと大阪ユニオン駅を出ていく。 今日も釜ヶ崎行き。 荷物車の後ろには、北の炭鉱や漁村から流れてきた労働者たちがぎゅうぎゅうに乗り込ん… 続きを読む
中央情報課 9 11月 2025 ウンコう日誌(第805号) 大阪民国の夜は、いつも湿っている。 ユニオン駅構内の煤けた蛍光灯の下、黒い流線型機関車C5343号が低く唸りを上げた。 「……あれが“鉄道帝”の黒い翼やで」 堀江新地の荷役が、タバコの煙を吐きながら呟いた。 戦前の夢、敗戦の残骸、そして再生不能の鉄屑。 その全てを飲み込みながら、害吉鉄道の黒き流星は… 続きを読む
中央情報課 7 11月 2025 ウンコう日誌(第804号) 朝の大阪ユニオン駅構内。 黒煙を上げるD51や、木炭動車の匂いが混じる中で、ひときわ静かに発車の時を待つ小さな緑の車両がいた。 ――107号、通称「青蓄(あおちく)」。 屋根の上には、時代遅れのバッテリーボックス。 パンタグラフも煙突もない。 かわりに、駅構内の片隅でうなりを上げる充電器から、青いケ… 続きを読む
中央情報課 5 11月 2025 ウンコう日誌(第803号) 害吉鉄道・芦原橋構内に、一台の黒ずんだ蒸気機関車が静かに眠っている。 その名はД51。かつて樺太(サハリン)で伐採材を運び、終戦とともに放置された旧国鉄D51が、数十年後、奇跡的に大阪民国へ戻ってきたという曰く付きの機関車である。 錆びついたボイラーには、まだキリル文字の銘板が残る。 「Д51-49… 続きを読む
中央情報課 3 11月 2025 ウンコう日誌(第802号) コンクリ桟橋から大阪ユニオン駅まで、ひときわけたたましい音を立てて走る列車がある。 害吉鉄道の蒸気動車107号。 見た目はトラム、心臓はボイラー。燃料は時々木炭、時々拾い物の廃油。 「おい107、また蒸気圧足りへんぞ」 「しゃあないやん、きょう湿気高いし!」 機関士のアブドゥラ(ミャンマー人)と、ボ… 続きを読む
中央情報課 1 11月 2025 ウンコう日誌(第801号) 夜の大阪ユニオン駅。 煤けたプラットホームに、黒光りする蒸気動車がひっそりと停まっている。 その名も《無限列車》。正式には「コンクリ桟橋直通・釜ヶ崎経由木炭動車」だが、誰もそう呼ばない。 煙突からは黒い煙ではなく、焦げた木炭の匂いを含んだ灰色の蒸気が立ちのぼる。 機関車のボイラーには“愛国炭鉱組合”… 続きを読む