月: 2025年9月

ウンコう日誌(第785号) 中央情報課

ウンコう日誌(第785号)

かつて北海道の天塩炭鉱鉄道で石炭列車を牽いていたC58。厳冬の日本海から吹き込む季節風と、山奥の鉱山地帯の急勾配に耐え抜き、煤にまみれながらもひたすらに走った機関車だった。 しかし、炭鉱の閉山とともに役目を終え、スクラップ寸前の状態で長らく放置されていた。そのボイラーは割れ、テンダーは穴だらけ。誰も…
ウンコう日誌(第784号) 中央情報課

ウンコう日誌(第784号)

大阪民国のユニオン駅の片隅に、時代に取り残された不思議な車両がある。 その名は 蒸気動車107号。 緑色の小さな電車スタイルの車体に、なぜか巨大な煙突が突き刺さっている。かつては市電を改造した車両だったが、戦後の燃料難で「木炭ガス発生炉」を積み込み、さらに“蒸気を出してる風に見せる”ためだけに煙突を…
ウンコう日誌(第783号) 中央情報課

ウンコう日誌(第783号)

台湾から引き揚げてきたC57は、すでに日本では役目を終え、解体寸前の身であった。しかし害吉鉄道の社長「鉄道帝」は、その細身で優美なシルエットを見て「これは大東亜の象徴になる」と言い張り、スクラップ寸前で買い叩いたのだった。 煤にまみれたボイラーには「臺灣鐵路管理局」の刻印が残り、テンダーの側面には消…
ウンコう日誌(第782号) 中央情報課

ウンコう日誌(第782号)

木炭の煙をもうもうと吐き出しながら、害吉鉄道の木炭動車は今日も大阪ユニオン駅を発車した。 番号は「107」。だが車内のプレートには「107」ではなく「一〇七號炭車」と墨書されており、誰がいつ書いたのかすら不明だった。 木炭動車は、蒸気でも電気でもなく、まさに「木炭」で走る。運転士は駅ごとに子どもたち…
ウンコう日誌(第781号) 中央情報課

ウンコう日誌(第781号)

大阪民国の害吉鉄道には、ひときわ異様な機関車がいた。 黒塗りの小型蒸気機関車C12──だが、これは正規の日本国鉄型ではない。戦時中に仏印(ベトナム)へ送られ、植民地鉄道の山岳区間で酷使されたのち、インドシナ戦争を経て放置されていたものを、害吉鉄道の社長「鉄道帝」がどこからか買い叩いて持ち帰ったのだと…
ウンコう日誌(第780号) 中央情報課

ウンコう日誌(第780号)

C56 160号機。かつては泰緬鉄道の酷暑と密林を走り、数え切れぬほどの兵站と人命を背負った。ジャングルの鉄橋を渡り、赤土の築堤を喘ぎながら越え、蒸気のたびに熱風と絶望を吐き出してきた。 その小さなボイラーに詰め込まれていたのは、石炭と水だけではなかった。汗、血、涙――そして帰れなかった者たちの声だ…
ウンコう日誌(第779号) 中央情報課

ウンコう日誌(第779号)

大阪民国の片隅、害吉鉄道のヤードに眠っていたのは、古びた緑色の蓄電池動車だった。 形式名すら曖昧なまま、ただ「バッテリーカー」と呼ばれ、誰からも忘れ去られた存在。しかし夜になると、この車両は低い唸り声とともにゆっくりと走り出す。車内にあるのは座席ではなく、大量の鉛電池。貨物輸送の名目で造られたが、実…
ウンコう日誌(第778号) 中央情報課

ウンコう日誌(第778号)

—コンクリ桟橋を出発する列車の先頭に、黒光りする異形の機関車がいた— それは、かつて帝都の華とも呼ばれた「流線型C53 53改」。 大東亜流線形計画の末期に生まれ、空襲下の東京を風のように走り抜けたとされるが、その戦後の消息は不明だった。 ところが、数十年後、コンクリ桟橋の汚泥の中から、泥と錆にまみ…
ウンコう日誌(第777号) 中央情報課

ウンコう日誌(第777号)

大阪民国の害吉鉄道。 時代に取り残された線路の上を、今日もまた奇妙な列車が走る。 緑色の小さな車体に、なぜか蒸気機関車のような煙突を載せた「蒸気動車」107号。 石炭をくべるほどの大きさはない。運転席の隣に小さな炉があり、車掌がシャベルで炭を突っ込み、火が落ちぬように必死に守る。 その熱でボイラーを…
ウンコう日誌(第776号) 中央情報課

ウンコう日誌(第776号)

それは敗戦の余燼に煙る大地から戻ってきた鉄の獣であった。 かつて樺太の北の果て、氷雪に閉ざされた大泊の港から、石炭と軍需物資をひたすら運び続けた機関車――D51。ソ連軍に鹵獲され、「Д51」と赤いプレートを打たれ、シベリアの凍土をも走らされた。だが運命の糸は奇怪にして不思議、なぜか大阪民国の混沌に引…
ウンコう日誌(第775号) 中央情報課

ウンコう日誌(第775号)

大阪民国の害吉鉄道、芦原橋(本社前)から釜ヶ崎へと走る小さな木炭動車。 番号は「107」。 青いレールの上で、今日もポコポコと木炭を燃やしながら進んでいく。 停車場のベンチには、労働者風の男が煙草をふかしながら立っていた。 「おい、まだ走っとんのか、このポンコツ」 そう言いながらも、彼はちゃっかりと…
ウンコう日誌(第774号) 中央情報課

ウンコう日誌(第774号)

大阪ユニオン駅構内に煤けた8620形が滑り込んできた。客車の行先表示には「無限」とだけ書かれた木札。どこから来たのか誰も知らない。 「おい、なんやあれ? 8620なんて戦前の骨董品やろ」 「ほんまや。しかも行先が“無限”。あんなんダイヤにないで!」 大阪クレオールが飛び交い、ユニオン駅の混沌はいっそ…
ウンコう日誌(第773号) 中央情報課

ウンコう日誌(第773号)

大阪ユニオン駅の片隅。 煤けた緑色の蓄電池動車107号が、闇の中で唸りを上げていた。屋根には使い古された煙突、側面は傷だらけ。鉛電池を抱え込みながら、辛うじて走り続ける害吉鉄道の古参車両である。 「おい兄ちゃん、これ釜ヶ崎行きやろか?」 「せやせや、まちがいないで。はよ乗らんと席なくなるでぇ」 関西…
ウンコう日誌(第772号) 中央情報課

ウンコう日誌(第772号)

大阪ユニオン駅の片隅。 雑多な多国籍労働者のざわめきのなかで、一両の古びたC58が煤けた煙突を揺らしていた。社紋のエンブレムを誇らしげに掲げているが、その素性は複雑だ。 もとは北海道の天塩炭鉱鉄道に所属し、極寒の北辺で石炭列車を牽いていた。しかし炭鉱が閉山となると、行き場を失い、縁あって大阪民国へと…
ウンコう日誌(第771号) 中央情報課

ウンコう日誌(第771号)

大阪民国の害吉鉄道には、いまなお「蒸気動車」と呼ばれる奇妙な車両が現役で走っている。 それは蒸気機関と電車の折衷のような姿で、車体は路面電車に似て小ぶりながら、屋根には黒々とした煙突が突き出している。 ――大阪ユニオン駅。 列車を待つ群衆の中には、関西弁に混じって「ສະບາຍດີ」「Apa kaba…