中央情報課 12 9月 2025 ウンコう日誌(第776号) それは敗戦の余燼に煙る大地から戻ってきた鉄の獣であった。 かつて樺太の北の果て、氷雪に閉ざされた大泊の港から、石炭と軍需物資をひたすら運び続けた機関車――D51。ソ連軍に鹵獲され、「Д51」と赤いプレートを打たれ、シベリアの凍土をも走らされた。だが運命の糸は奇怪にして不思議、なぜか大阪民国の混沌に引… 続きを読む
中央情報課 10 9月 2025 ウンコう日誌(第775号) 大阪民国の害吉鉄道、芦原橋(本社前)から釜ヶ崎へと走る小さな木炭動車。 番号は「107」。 青いレールの上で、今日もポコポコと木炭を燃やしながら進んでいく。 停車場のベンチには、労働者風の男が煙草をふかしながら立っていた。 「おい、まだ走っとんのか、このポンコツ」 そう言いながらも、彼はちゃっかりと… 続きを読む
中央情報課 8 9月 2025 ウンコう日誌(第774号) 大阪ユニオン駅構内に煤けた8620形が滑り込んできた。客車の行先表示には「無限」とだけ書かれた木札。どこから来たのか誰も知らない。 「おい、なんやあれ? 8620なんて戦前の骨董品やろ」 「ほんまや。しかも行先が“無限”。あんなんダイヤにないで!」 大阪クレオールが飛び交い、ユニオン駅の混沌はいっそ… 続きを読む
中央情報課 6 9月 2025 ウンコう日誌(第773号) 大阪ユニオン駅の片隅。 煤けた緑色の蓄電池動車107号が、闇の中で唸りを上げていた。屋根には使い古された煙突、側面は傷だらけ。鉛電池を抱え込みながら、辛うじて走り続ける害吉鉄道の古参車両である。 「おい兄ちゃん、これ釜ヶ崎行きやろか?」 「せやせや、まちがいないで。はよ乗らんと席なくなるでぇ」 関西… 続きを読む
中央情報課 4 9月 2025 ウンコう日誌(第772号) 大阪ユニオン駅の片隅。 雑多な多国籍労働者のざわめきのなかで、一両の古びたC58が煤けた煙突を揺らしていた。社紋のエンブレムを誇らしげに掲げているが、その素性は複雑だ。 もとは北海道の天塩炭鉱鉄道に所属し、極寒の北辺で石炭列車を牽いていた。しかし炭鉱が閉山となると、行き場を失い、縁あって大阪民国へと… 続きを読む
中央情報課 2 9月 2025 ウンコう日誌(第771号) 大阪民国の害吉鉄道には、いまなお「蒸気動車」と呼ばれる奇妙な車両が現役で走っている。 それは蒸気機関と電車の折衷のような姿で、車体は路面電車に似て小ぶりながら、屋根には黒々とした煙突が突き出している。 ――大阪ユニオン駅。 列車を待つ群衆の中には、関西弁に混じって「ສະບາຍດີ」「Apa kaba… 続きを読む