月: 2025年8月

ウンコう日誌(第770号) 中央情報課

ウンコう日誌(第770号)

――その機関車は、黒光りするボイラーに「CK285」とプレートを掲げていた。 かつて台湾総督府鉄道で走ったC57の同型機。南国の陽射しとサトウキビの匂いを浴び、山岳を縫う急勾配を越えてきた歴史を背負いながら、今は大阪民国・害吉鉄道に流れ着いている。 大阪ユニオン駅の雑踏。蒸気の白煙に混じって、タイ語…
ウンコう日誌(第769号) 中央情報課

ウンコう日誌(第769号)

大阪民国の片隅、害吉鉄道の青い線路を、ちんまりとした緑の木炭動車が走っていた。車体に刻まれた「107」の番号は、すでに数十年前から現役を続けてきた証だった。 木炭をくべる煙突は小さく、しかし運転士の手際で火は絶やされることなく赤々と燃え、車両の横腹に据え付けられた小さな炉からはじんわりとした熱が漏れ…
ウンコう日誌(第768号) 中央情報課

ウンコう日誌(第768号)

泰緬鉄道帰りのC56形蒸気機関車、番号は「C56160」。 戦場のジャングルで酷使された機関車は、今や害吉鉄道の主力のひとつとして、コンクリ桟橋から釜ヶ崎へと、人と荷を満載して走る。 屋根の上にもしがみつく人びと、荷物に腰かけて眠る者、炊飯釜を抱えたままの移民労働者。車内は混沌そのもので、聞こえる言…
ウンコう日誌(第767号) 中央情報課

ウンコう日誌(第767号)

大阪民国・害吉鉄道の片隅。 緑の蓄電池動車「107号」は、まだ夜明け前の薄暗い時間に大阪ユニオン駅に現れる。パンタグラフもない小さな車体に、大きなバッテリーを抱え込んだ、時代遅れの車両だった。しかしそれでも、今日も釜ヶ崎へと向かう労働者たちを運ぶ、大事な存在である。 プラットホームには、九州から夜行…
ウンコう日誌(第766号) 中央情報課

ウンコう日誌(第766号)

害吉鉄道の大阪ユニオン駅。 そこに現れるのは、異様な黒い流線型機関車 ―― C53である。 もともとは昭和初期、東海道を疾駆した高速旅客用の花形だったが、敗戦と混乱を経て祖国に戻ることもできず、行き場を失っていた。それを「鉄道帝」が拾い上げ、「害吉鉄道の威信を示す旗艦」として走らせているのだ。 だが…
ウンコう日誌(第765号) 中央情報課

ウンコう日誌(第765号)

コンクリ桟橋から遠く離れた「堀江新地」の片隅に、木賃宿や飲み屋の影にひっそりと「南堀江口駅」がある。そこに停まっているのが、害吉鉄道の蒸気動車107号。 見た目は市電の小型電車のようだが、屋根には煤けた煙突が突き出し、車内の一角には小さなボイラーが据え付けられている。石炭の代わりに、燃料は木炭や時に…
ウンコう日誌(第764号) 中央情報課

ウンコう日誌(第764号)

かつて帝国の北辺を走っていた貨物用機関車D51は、戦後に樺太ごとソ連に引き渡され「Д51」として酷使された。極寒の地で薪も石炭も足りず、やがては泥炭や伐採残材を焚き、車体は煤と氷で真っ黒に覆われた。ソ連の整備工場では雑に補修され、側面にはキリル文字が打刻されたまま放置されていた。 時代が変わり、廃車…
ウンコう日誌(第763号) 中央情報課

ウンコう日誌(第763号)

害吉鉄道の片隅、堀江新地から釜ヶ崎に向かう短い区間を、今なお走り続ける古い木炭動車がある。車体番号107。 戦時中の燃料難に対応するために作られたこの車両は、石炭やガソリンが手に入らぬ時代に、山から切り出した木を炭に変えて走らせた。時代遅れの産物として忘れられてもおかしくなかったが、大阪民国の混沌は…
ウンコう日誌(第762号) 中央情報課

ウンコう日誌(第762号)

大阪民国・大阪ユニオン駅の10番線。 青いレールの上に、今日も「無限列車」が静かに煙を吐いていた。機関士は、かつて大陸の戦線で補給列車を走らせた老人で、「この列車は時間も距離も関係なく走る」と真顔で言う。乗客はそれを冗談だと思って笑うが、釜ヶ崎に着くまでに何度も夜が明け、車窓に見える景色がアジアのど…
ウンコう日誌(第761号) 中央情報課

ウンコう日誌(第761号)

害吉鉄道の蓄電池動車・407号は、戦前に製造された古参車両だ。もとは軍需工場の構内輸送用として作られたが、戦後の混乱期に払い下げられ、何度も塗装と部品を替えながら大阪民国を走り続けている。 この車両の特徴は、天井に並んだ巨大なバッテリー換気口と、車体側面にある手回し充電口だ。沿線の小さな変電所で、駅…
ウンコう日誌(第760号) 中央情報課

ウンコう日誌(第760号)

かつて北海道の天塩炭鉱鉄道で、石炭を満載した長い貨物列車を力強く牽いていた社型C58。冬は吹雪、夏は霧と虫の群れ、それでも黙々と走り続けた働き者だった。 しかし、炭鉱閉山とともに売却され、遠く離れた大阪民国・害吉鉄道へと渡ってきた。 ここは湿気と潮風にまみれ、真夏のコンクリ桟橋には熱帯の蒸気がこもる…
ウンコう日誌(第759号) 中央情報課

ウンコう日誌(第759号)

害吉鉄道の蒸気動車107号は、もともと昭和初期に大阪市内の路面電車として造られた車両だった。戦時中にガソリン不足で廃車寸前となったが、戦後すぐに害吉鉄道が「貨物列車の後ろで客も運べる便利な車」として譲り受け、屋根に小型の蒸気ボイラーを積み、煙突を突き出して蒸気動車に改造された。 大阪ユニオン駅を出た…
ウンコう日誌(第758号) 中央情報課

ウンコう日誌(第758号)

大阪民国・害吉鉄道。 ここはアジアの混沌がすべて凝縮されたような鉄道会社であり、貨物輸送の“ついで”に旅客を乗せる、極めて前時代的な運行体系で知られる。 ある日、コンクリ桟橋に見慣れぬ機関車が漂着した。 ナンバープレートには「CK285」の文字。台湾から海を越えてやってきた、元・日本国鉄C57型の生…
ウンコう日誌(第757号) 中央情報課

ウンコう日誌(第757号)

「この線、昔は貨物列車が5分おきに通ってたんや。」 コンクリ桟橋の片隅で、静かに待機する木炭動車107号。くすんだ緑のボディ、煤けた屋根、そして側面の“107”の番号。その姿は、戦時中の記憶を今に伝える生きた遺物だ。 この車両が造られたのは、大東亜戦争も中盤の頃。石油はおろか、石炭も入らず、頼れるの…
ウンコう日誌(第755号) 中央情報課

ウンコう日誌(第755号)

大阪民国。 時代に置き去りにされた都市の片隅で、今日もまた緑色の蓄電池動車が「大阪ユニオン駅」を静かに出発する。 行き先は、釜ヶ崎。 車番は107。戦後復興期に旧国鉄が試験的に導入した車両を、廃車直前に害吉鉄道が二束三文で買い取り、自社の整備工場で蓄電池式に改造したものである。パンタグラフは最初から…