月: 2025年6月

ウンコう日誌(第739号) 中央情報課

ウンコう日誌(第739号)

朝霧のたちこめる大阪ユニオン駅。 構内放送は壊れて久しく、代わりに炊き出しのスピーカーが「おにぎり一個百円やでぇ〜」とけたたましく響いていた。 そこへ現れたのが、黒光りする戦時型蒸気機関車。 番号はC56160、通称「サルゴリラチンパンジー号」。 屋根にはいつのまにか野良犬と洗濯物、そして人間数名が…
ウンコう日誌(第738号) 中央情報課

ウンコう日誌(第738号)

大阪民国の片隅、時の澱がたまるような裏界路を縫いながら、蒸気動車107号はゆるりと息を吐く。害吉鉄道——かつて誰かが敷き、今では誰も整備していない鉄道。だが、その車両は今も走る。いつの世の鉄か定かでない蒼碧の双条の道を、節くれだった車輪が擦り寄ってゆく。 車体は苔むした緑、煙突は煤で艶を帯び、車窓に…
ウンコう日誌(第737号) 中央情報課

ウンコう日誌(第737号)

朝のラッシュを少し過ぎたころ、C5343号機は堀江新地駅をゆっくりと発車した。漆黒の流線型ボディを誇る老蒸機は、今や害吉鉄道の象徴ともいえる存在だが、特別列車などではない。大阪民国の、いつも通りの“足”である。 牽引されるのは、半世紀以上前に製造された木造客車と、車籍不明の連接車。車体には各民族によ…